損傷状況と補修の報告書

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写真:船底接合部亀裂状況&各補修状況


この報告書は、強力助っ人H君が寄せてくれた報告書を元にしています。
と言うことは、またしても本人は不参加という無責任状態です。
完成式・進水式・夏祭りと連続して参加したので、その後は本業専念なのです。
ご容赦を・・・。

<船底板&第2ハルとの接合部剥離>
1)処女航海の限界排水量試験で「試験用重量物」積載時に踏み抜くような音がした。
2)川岸の木の根元に衝突時、船首からの圧縮力が中央で開くモーメントに転化し割れた。
・補修方針
亀裂部分約60cmのFRPを上下1cm計2cm幅で剥がし、テープ状のガラス繊維をポリエステル樹脂で貼付。
その周囲に上下10cm幅でウレタン塗装を剥がしFRP加工を施す。
結果的にこの部分は2プライ以上となり強度を増すことになる。

*割れの真の原因は施工不良か?
上下1cm幅で割れ目のFRPを剥がしたところFRPが下地に密着していない部分がかなりあった。
ベニヤの接合面の隙間の空気が樹脂との密着を妨げるようである。
写真で分るとおりベニヤの結合が不十分で「木工パテ」で補修するも機械的強度を得られず、割れたようである。
「限界排水量試験」の重量物の「踏み抜き」は真の原因ではないと思われる。
割れの周囲のウレタン塗装を剥がしFRP積層の下地を作る。
ウレタンは実は「熱硬化性樹脂」ほとんどの樹脂は「熱可塑性樹脂」であるから、ポリエチレンとは性質が異なり接着しない。

・補修作業
H18.8.6(日)その存在が珍なる故か、2度の沈に係わったD氏を迎え本格的な補修作業を行なった。
2日前から正に盛夏の候となりFRPに用いるポリエステルの硬化時間を十分取れるか不安である。
前回は硬化剤の配合比率を1%程度で樹脂がゲル化するまでに20分程であったが、気象条件が全く異なるため今回の配合比率は0.5%とすることにした。
幅4cmほどに亀裂に沿ってFRPを切り取り、その周囲20cm×70cmのウレタン塗装を剥離。
亀裂にしみこむように樹脂を木部に塗布>4cm幅のテープ状ガラス繊維を樹脂で固定
>周囲に予め樹脂を塗布>20x70のガラス繊維をローラーを用い樹脂塗布。

<船首補修>
船首部分の損傷は木部の部分的粉砕まで達しているため、織物状のガラス繊維だけで補修するとFRPの厚み不足で十分な強度が得られない。そのためマット状(綿状)のガラス繊維を幅5cmのテープ状に切断し、この中央部を船首先端部にホチキスのステープルで仮止めし、綿状の繊維を船首の曲線になじませながら厚いFRP層を形成し、それをカバーするように織物状のガラス繊維を貼付することとした。
写真でも分るとおり、オレンジ色の船べりの先端部分はFRP加工されていないため損傷が特にひどくエポキシパテで肉盛りした。
船首FRPは曲線・上下のためカヌー本体を右に倒したり左に倒したりしながらポリエステル樹脂が十分いきわたるよう施工した。
先端部の仕上がりは上々。5mm厚の強固なFRP層が形成された。一方側面は織物状のガラス繊維の切込みを入れ重ね合わせた部分にチクチクが残っているので後程サンダー加工を施さなくならないだろう。

<船内補強>
船体の亀裂の考察で述べたとおり施工不良を機械的強度の期待できない木工パテで補修したりと、船体の強度に不安があるため船体内部にFRPを施工し機械的強度を飛躍的に増加させることにした。
内部の弾性塗料とポリエステル樹脂が接着するかどうか資料が無く、また木質層に直接樹脂を塗布すれば染込むことも期待できるためカップ型ワイヤーブラシ+サンダーにてラフに塗膜を剥離した。
船体内部のFRPは綿状の厚い繊維を使うこととした。写真中央上部の色の濃い直線は船体亀裂箇所である。綿テープをはがし外面のFRPと一体となるように樹脂をよくしみこませた部分です。FRPが白くまだらになっているが、弾性塗料をラフに剥離したために残っている塗料が見えるので、空気が入り遊離しているものではない。
中央部の色の濃い直線は亀裂のあった部分ですが、ポリエステル樹脂が空隙を満たしており内部と外部のFRPを強固につなぐ「樹脂ボルト」のようになっている。これは強力ですねー!

今回の懺悔・・・
とまァ、詳細な報告をいただいたのですが、少々端折ってございます。ご容赦の程。
まァ、FRP施工に関する予備知識が足りなかったのと、そのリペアも含めて施工スキルが未熟だったと言うことよね?!
みんなで作ってみんなで乗ったのだから、良しとしましょうね?!
でも、2度の漕艇で2度とも沈をしたD君はどういう星の下に生まれたんだろう?